2008年の重大ニュース

福田首相も政権投げだし。後継麻生首相の支持率急降下

福田康夫首相が9月1日、突然退陣を表明。衆院で新テロ特措法などを再議決したものの、参院で戦後初の首相問責決議を突きつけられ、ねじれ国会に嫌気か。2年連続の政権投げ出しは政治不信を増幅。後継の麻生太郎首相は政策の迷走と低支持率で衆院解散を先送りした。

景気後退入り、株価は急落、円高騰

米国発金融危機による世界同時不況で景気後退が鮮明に。株価は10月27日にバブル崩壊後最安値を更新。円は急騰、1ドル90円を突破した。11月の国内自動車販売台数が39年ぶりの低水準など 企業業績悪化でトヨタ自動車も赤字に転落。雇用は深刻な状況に。政府が打ち出した定額給付金支給には疑問符。

秋葉原、大阪個室ビデオ店などで「誰でもよかった」的犯罪

東京の秋葉原で6月8日、元派遣社員の20代男がダガーナイフで歩行者らを次々に刺すなどして7人を殺害、10人に重軽傷を負わせた。携帯サイトへの書き込みを無視された腹いせ。10月、大阪で無職40代の男が個室ビデオ店に放火、客15人を死亡させた。「生きていくのが嫌になった」。きずなが失われた社会の「病」を浮き彫りにした。

冷凍ギョーザ、汚染米転売など食への不安さらに高まる

1月、中国製冷凍ギョーザを食べた10人の中毒症状が発覚。製品から高濃度有機リン系殺虫剤を検出した。中国でも同じ製品で中毒が発覚、工場での混入疑惑が強まった。中国製冷凍インゲンや菓子類でも有害物質汚染。中国産ウナギの産地偽装や事故米の食用転売も発覚、食に対する不安がさらに高まった。

日本人学者にノーベル物理学賞と化学賞

ノーベル物理学賞に南部陽一郎、小林誠、益川敏英の3氏、化学賞に下村脩氏と日本人が一挙に4人受賞。南部氏らは「対称性の破れ」に迫り、下村氏はクラゲから蛍光物質抽出。日本人受賞者は計16人。ただ子どもの理科離れ、基礎研究費削減などで「科学立国」の前途は多難だ。

後期高齢者医療制度スタート、天引きに苦情殺到

75歳以上の高齢者を対象にした後期高齢者医療制度が4月から始まった。医療費抑制が狙いで1300万人が対象。年金からの保険料天引きに「なけなしの年金が減る」と苦情が殺到。将来保険料引き上げや医療給付サービス切り下げなどが予想され「姥捨山の医療」の批判が絶えない。

暫定税率再議決でガソリン価格の狂騒曲

4月1日からガソリン価格が1リットル20円以上値下がりした。道路整備のためガソリンの税金を本来の二倍程度に規定した暫定税率が3月末で切れたため。与党が憲法59条の「みなし否決」規定で関連法案を再可決し5月1日から暫定税率が復活。8月に1リットル180円を超したが、原油価格急落で年末には100円を割り込む地域も出る「乱高下」。

元厚生次官らの連続殺傷に衝撃

11月17日、元厚生次官山口剛彦さん夫婦がさいたま市の自宅で刺殺され、翌日東京都中野区で別の元厚生次官の妻が刺され重傷。同22日に警視庁に出頭、逮捕された小泉毅容疑者が犯行を認め、「保健所に飼い犬を殺された仕返し」「ほかの厚生官僚も狙った」と供述。心の闇をのぞかせた。

標準報酬月額の改ざん明るみに、年金不信拡大

ずさんな年金行政で厚生年金の算定基礎になる標準報酬月額などの改ざんも発覚。企業の保険料負担軽減に社会保険庁が組織ぐるみで関与していた。1億人以上の全受給者・加入者に記録を確認してもらう「ねんきん特別便」発送は10月末終了したが、宙に浮いた記録確認作業は難航。

非正規雇用が過去最高に。「蟹工船」ブーム

今年1―3月期の非正規雇用者の割合が34・0%と過去最高に。7―9月期はさらに0・5ポイント更新。青少年白書によると15-19歳の非正規雇用者割合は70%超す。企業業績悪化で期間従業員や派遣労働者の失業問題が深刻化。「ワーキングプア」増加で小林多喜二作の「蟹工船」が大売れ。

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