2010年の重大ニュース

尖閣諸島で中国漁船が巡視船に衝突。ビデオ流出騒ぎも

沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海内で9月、中国漁船が海上保安部の巡視船に衝突、中国人船長が逮捕された。中国は日本人会社員4人を拘束、レアアース(希土類)の対日輸出を事実上停止、日中首脳会談を拒否するなど関係は悪化。那覇地検は処分保留のまま船長を釈放したが、政治介入との批判も高まった。  衝突時のビデオ映像は衆参予算委の理事に限定公開されたが、その後、神戸海上保安部の海上保安官が映像をインターネットの動画サイトに投稿。参院では仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議が野党の多数で可決された。

参院選挙で民主党が大敗。ねじれ国会に

7月の参院選で民主党が44議席で大敗。自民党は51議席で改選第1党、みんなの党が躍進し10議席を獲得。民主、国民新の連立与党は非改選議席を含めて参院の過半数を割り込み、衆参両院で多数派が異なるねじれ国会に。菅直人首相が唐突に消費税率引き上げに言及したことが有権者の反発を招いた。

厚労省元局長に無罪判決。特捜検事らを証拠偽造で逮捕

大阪地裁は9月、郵便制度悪用に絡んで虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた元厚生労働省局長村木厚子被告に無罪を言い渡し、確定した。最高検は事件を担当していた大阪地検特捜部の主任検事がデータを改ざんしたとして証拠隠滅容疑で逮捕。上司の前特捜部長らも逮捕され、検察への信頼が地に落ちた。

普天間移設で日米合意。迷走の鳩山内閣は辞職し菅内閣誕生

鳩山由紀夫首相が6月に退陣した。首相が「最低でも県外」と表明していた米軍普天間飛行場(沖縄県)の移設先は迷走を続けた末に名護市辺野古周辺で日米両政府が合意。しかし社民党の連立政権離脱を招き、自らの「政治とカネ」の責任も取った。後継の首相に菅直人副総理・財務相が指名された。

宮崎県で口蹄疫の被害が拡大。全国を震撼

家畜伝染病の口蹄疫が4月、宮崎県で確認され、感染は5市6町に拡大。政府は発生地から半径10キロ圏内で感染した牛や豚のほか、感染していないすべての牛や豚もワクチン投与した上で殺処分した。約29万頭が対象となった。

観測史上最高の猛暑。熱中症多発で死者も

猛暑が全国を襲った。気象庁によると、6~8月の平均気温は統計を取り始めた1898年以降で最高だった。9月も記録的な残暑となった。熱中症で救急搬送された人は7月が前年同月の3倍、8月が4倍と急増、死亡者も相次いだ。農産物の生育にも影響が出て野菜は値上がり。「今年の漢字」には「暑」が選ばれた。

小惑星イトカワから「はやぶさ」が帰還

小惑星探査機「はやぶさ」が6月、7年ぶりに地球に帰還、イトカワの微粒子が回収された。月以外の天体との往復は世界初の快挙。予定から3年遅れの帰還で約60億キロの長旅だった。大気圏突入時に燃え尽きる機体本体の映像が感動を呼んだ。

所在不明の高齢者が続々と判明。「無縁社会」も深刻に

東京都足立区で戸籍上111歳の男性の遺体が7月に見つかったのを契機に、全国で所在確認調査が実施され、戸籍上は生きているのに「所在不明」となっている高齢者がいることが次々と分かった。家族や地域との絆が失われ、孤立化が進んでいる現代社会を取材したNHKの番組「無縁社会」も反響を呼び、流行語にも選ばれた。

ノーベル化学賞に根岸英一、鈴木章両氏

根岸英一米パデュー大特別教授と鈴木章北海道大名誉教授がノーベル化学賞を受賞した。2種類の有機化合物を結び付ける「クロスカップリング」の新しい方法を開発した業績が認められた。化学賞を日本人が受賞したのは7人、ほかの賞も合わせ計18人。

15年ぶりの円高水準。政府は市場介入

米国の金融緩和や経済減速を背景に今夏から円高ドル安が急速に進み、円は1ドル=80円突破寸前まで買われた。政府は9月に円売りドル買いの市場介入を6年半ぶりに実施。円高はデフレ圧力となる上、国内製造業の海外移転が進むことから、雇用悪化も懸念される。

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